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足利谷 好信; 仲澤 隆; 吉野 敏明; 安 和寿
JAERI-Tech 2001-092, 76 Pages, 2002/01
高温工学試験研究炉(HTTR)は、定格運転の9MW出力上昇試験(単独・並列運転)に続いて、平成13年1月16日から定格運転及び高温運転試験モード20MW出力上昇試験(単独・並列運転)を実施し平成13年6月10日に終了した。本報は、定格運転及び高温試験運転モード20MW出力上昇試験における原子炉運転中及び停止後の放射線モニタリング結果をまとめたものである。20MW出力上昇試験の原子炉運転中及び停止後の放射線モニタリング結果では、放射線物質の放出管理及び放射線作業時の被ばく防護上の特別な配慮が必要な放射線レベルでないことがわかった。
角田 恒巳; 山岸 秀志; 田畑 広明*; 浦上 正雄*
第7回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集 (00-11), p.254 - 257, 2000/11
光ファイバなどをセンサ媒体とした、新しい原子炉運転監視システムとして、光計装システムの開発研究を行っている。本報は、その全体像と、キイコンポーネントの耐放射線性向上技術、実際に光ファイバセンサによる炉心内での計測試験について述べた。光ファイバの耐放射線強化では、コアにフッ素を拡散することで、E'センタ及びNBOHCを抑制し、原子炉炉心内で使用できるものが得られた。これをセンサとし、炉内の温度や炉出力の計測が可能であることを示した。
鈴土 知明
Proceedings of International Symposium on Frontiers of Time Series Modeling, p.306 - 307, 2000/02
従来、動的システムから得られる時系列データのモデル化は、多数の独立した物理現象に分解することによって行われてきた。しかしこのような方法論が不可能な場合もあり、そのような系は複雑系と呼ばれている。原子炉の空間的出力振動等は、原子炉の複雑系としての性質が現れたもので、このような系から得られた時系列データは従来の解析方法を用いても本質を理解することは困難である。複雑系の一つの代表的な特徴に、規則性と不規則性の共存があげられる。情報エントロピー関数は規則性、不規則性を表現するのに適しており、複雑系の本質的な特徴を抽出できるものと期待される。本研究では、複雑な振る舞いをする2次元セルオートマトンを、空間パターンのエントロピーと時間変化パターンのエントロピーを用いて分類できることを確認した。
山本 俊弘; 三好 慶典
Journal of Nuclear Science and Technology, 36(11), p.1069 - 1075, 1999/11
被引用回数:2 パーセンタイル:21.18(Nuclear Science & Technology)定常臨界実験装置STACYの低炉出力の絶対測定に中性子源挿入法を適用した。中性子源挿入法で必要となる実効中性子源強度を従来の方法よりもより厳密な定義に基づいて求めた。実効中性子源強度をより高精度に求めるために、中性子源を「外部中性子源から放出された中性子が最初に起こした核分裂によって発生した中性子」と定義し直した。この定義に基づく実効中性子源強度を求めるために、外部中性子源によって核分裂が起こる確率を、モンテカルロコードMCNPにより三次元の複雑な炉心構造も考慮に入れて計算した。さらに、このときの核分裂反応の分布、臨界時の基本モードの中性子束、随伴中性子束分布を三次元輸送計算コードTHREEDANTを用いて計算した。臨界状態のSTACYの炉心タンク近傍に中性子源を挿入し、中性子源挿入法の原理に従って炉出力を測定した。この方法で求めた炉出力は、高出力運転によった生成したFP放射能を分析する方法とよく一致した。
石川 信行; 鈴木 勝男
日本原子力学会誌, 41(9), p.937 - 945, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)2自由度制御は、制御系の外乱除去性能などを規定するフィードバック特性と目標値に対する応答特性(目標値応答特性)をそれぞれ独立に設定できる利点をもつため、制御性能の向上を図る際にしばしば用いられる。しかし、モデルマッチング法などの一般的な方法により制御系を設計すると、制御器の次数が高くなる。そこで、本論文では2自由度制御系の低次元設計法として、分母系列表現のパデ近似による方法を提案する。そして、この方法により設計した制御器を原子炉の出力制御に適用した場合の制御特性を、原子炉動特性モデルを用いた数値シミュレーションにより評価する。適用例において、提案手法で設計した制御系が通常のモデルマッチング法で設計されるものと同等の応答特性を示すことを確認した。
石川 信行; 鈴木 勝男
JAERI-Research 96-048, 50 Pages, 1996/09
本稿では原子炉出力制御の目標値応答特性及びロバスト性の向上を図るために、2自由度制御器を適用した制御系の有効性を数値シミュレーションにより示した。2自由度制御器はフィードフォワード要素とフィードバック要素から構成する。フィードフォファード要素は標準2次系で与えられた目標値規範モデルを実現するようにモデルマッチング法で設計し、フィードバック要素は制御系にロバスト性をもたせるため、混合感度問題をH最適化アルゴリズムを解くことにより設計した。設計された2自由度制御系は規範モデルとして与えた目標値応答特性を実現し、外乱除去特性やロバスト性に関しても良好な特性を与えた。数値シミュレーションは設計された2自由度制御器をディジタル化して行った。制御周期を10[msec]以下にすればディジタル化により制御特性が劣化しないことを確認した。
鈴土 知明
JAERI-Research 94-003, 91 Pages, 1994/07
沸騰水型原子炉(BWR)の安定性との関連において原子炉出力振動を非線形動力学理論に基づき議論した。まず、実炉から得られた炉雑音データを元来カオス現象を解析するための手法を用いて解析した。その結果、この手法は従来方法に比べて優れた振動現象の動特性指標を与え、新しい実時間炉心監視システムに応用できることがわかった。また、モデルを用いた解析では、非線形動力学理論の中の特に分岐理論を用いたBWRの低次元の現象論的動特性モデルを解析的に取り扱った。これにより、数値解析からは得られないBWRの定常状態の線形安定条件や振動運動の安定性に関連している弱安定条件の陽表現が導出され、出力振動の定性的理解が深まった。
林 光二
JAERI-M 93-041, 152 Pages, 1993/03
原子炉システムの非線形機構の解明と異常診断を目的とした非線形炉雑音解析手法の研究を行った。従来の非線形同定手法GMDH(組み合せデータ処理法)に新たに考案した近似応答関数を付加し、非線形スペクトル解析や非線形機構の解析に役立つ手法を確立した。また、原研の研究炉NSRRで観測された炉出力振動の測定実験と解析を行い、不安定性の原因を明らかにした。更に、非定常炉雑音の解析手法とデータ収録法に関する研究を行った。瞬時の自己回帰スペクトルの時間軸分解能を向上させ、原子炉運転状態の追跡や異常診断に役立つ手法を確立した。また非定常炉雑音データ収録用前処理システムを開発し、測定試験を通じて実用性を実証した。
塙 幹男; 大久保 利行; 星野 勝明; 村上 隆典; 早川 晃; 青木 裕; 照沼 誠一
PNC TN9410 91-361, 30 Pages, 1991/11
本報告書は,高速炉燃料の設計因子の妥当性を実験的に確認するために1991年6月に実施した孔線出力試験その1(B5D-1照射試験)時のプラント運転経験について述べたものである。本照射試験は,試験体を炉心中心に装荷し,原子炉出力60MWから通常の4倍の出力上昇率(0.4MW/min)で95MWまで上昇させ,10分間保持した後急速に出力降下する方法で実施した。試験時の主なプラント特性は次の通りである。(1)60MWから95MWまでの平均出力上昇率は0.45MW/minとなり,その間の原子炉出力Na温度上昇率は37度Cで,運転制限値を満足した。(2)原子炉出口とオーバーフロータンク間のNa温度差は運転手法によって最大70度Cに押さえることができ,運転制限値を満足した。(3)急速な出力変化に伴う2次Na温度制御系の追従性は良好で原子炉入口Na温度を一定に保持した。今回の運転経験によって今後数回に渡り計画されている高線出力試験の運転手法をほぼ確立することができた。また,今回の運転データ及びシミュレータによる解析結果から運転制限値を満足する最大出力上昇率は約0.6MW/minと予測される。
田中 義美*; 京谷 正彦; 徳永 貴元*; 森 拓也*
JAERI-M 91-021, 61 Pages, 1991/03
本報告の目的は、船体運動が「むつ」の原子炉出力に与える影響を解明することである。出力上昇試験の航海中に、原子炉の制御系信号及び船体運動計測装置による信号の測定を行った。このデータを用いて、ピッチング角度、ローリング角度、蒸気流量、中性子束及び一次冷却水温度の各信号間の間連を多変数自己回帰モデルによって解析した。その結果、原子炉の動特性に関しては、ピッチング及びローリングから一次冷却水温度及び中性子束への影響はないという結論を得た。負荷と原子炉出力が顕著な相関を示す周波数はピッチング、ローリングの周波数よりも低域に分離している。ピッチング、ローリングは船の大きさ、重量、重心位置に依存し、一方負荷追従特性は負荷と一次系及び二次系の熱容量に依存する。この理由で、「むつ」の原子炉と船体の設計は良く調和しているものと判断される。